あんなに暖かかった11月初旬から一転。朝晩の気温がぐっと下がり、急に冬がやってきました。
東洋医学では、冬は「腎」の季節とされています。「腎」は、生命力のもととなるエネルギーを蓄えたり、からだを温めたりする働きを担っていますが、「冷え」に弱いといわれています。腎を養うためには、「冷やさないこと」が大切です。
腎が弱るとあらわれる症状
暖房で室内温度を暖かくした室内で生活していると、冬の季節がわからなくなりがちですが、野生動物は冬になると冬眠し、活動を休止します。
私たちも冬は活動を控えて、エネルギーの消費を控えたほうがよいとされています。
基本的に、「腎」は年齢とともに弱っていきます、無理をして動き過ぎることも「腎」を傷める原因となります。
「腎」が弱ると、次のような症状があらわれやすくなります。
- 足腰の弱り
- 夜間頻尿
- 聴力の低下
- むくみや下半身の冷え
- 月経リズムの乱れ
冬は「備える」季節
冬はあまり活発に動き過ぎると、本来は体の中に留めて蓄えておくべきエネルギーを消費するため、体力の消耗につながります。
たくさん汗をかくような激しい運動は、秋同様に控えましょう。ただし、動かないのは腎を支えている足腰の弱りにつながるため、日中暖かいうちにゆっくりと散歩することや室内での筋力トレーニングなどは、筋力と基礎代謝を維持するためにもおすすめです。
基本的には、冬は「備える」ことを意識して、ゆったり、静かに過ごすことがおすすめです。
また、室内外での冷え対策はしっかり行いましょう。「首」、「腰」、「足首」は、特に冷やさないようにしてください。体を温める働きをもつ「腎」が冷えてしまうと、その働きが低下し、からだを温められなくなります。しっかり「腎」を養い、エネルギーを蓄えることが、春に向けての大切な備えとなります。
「腎」を元気にするための冬の養生のすすめ
- とにかく体を冷やさない
- 冬の間は「早寝遅起き」でも大丈夫
- 足腰を動かして筋力低下を防ぎましょう
- 体を温める働きのある食材や、腎の働きを助ける食材を取り入れましょう
冬の薬膳
寒くなってくると、コンビニのおでんや肉まんが目につき、自然と「体を温める」ものを選んで食べている方も多いのではないでしょうか。
しょうがや唐辛子など、辛いものは、体を温めるからといってたくさん食べると、大量の汗によって、体を冷やしてしまうことがあります。適量を料理に使うことは体を温めるのでおすすでですが、食べ過ぎには注意しましょう。
腎を養うのは、「黒い食材」と「鹹味」の性質をもつものだとされています。春までは、積極的に「腎」を養う食材を取り入れましょう。
腎を養う食材
黒豆、黒ごま、クルミ、栗、黒米、ブロッコリー、ブルーベリー、いか、ほたて貝、あじ など
五味が「鹹」の食材
昆布、わかめ、くらげ、海苔、ひじき など
※海苔とひじきは「甘味」もあるとされています
体を温める食材
しょうが、ニラ、ネギ、にんにく、唐辛子、シナモン、かぶ、まぐろ(赤身)、えび など
冬におすすめの「腎」を養う対策
冬は、からだを温める鍋料理やスープ類が欲しくなります。毎回同じ味だと飽きてしまうという方は、スパイスを使って味を変えてみるのもおすすめです。
手軽に味を変えたいときは、カレー粉を、ひとつまみ~ふたつまみふりかけても。
これからいよいよ冬本番です。体を冷やさないこと、動き過ぎないことが、腎を養う1番の対策です。
うがいや手洗いなど、基本的な冬の感染対策も忘れずに。だんだん今年もあと何日というフレーズに焦る気持ちを落ち着けつつ、体を労り、ゆったりとした気持ちで過ごしましょう。