冬の漢方的生活 その2

年が明け、冷え込みがより一層厳しくなってきました。1月20日は、二十四節気のひとつ「大寒」です。

1年のうちでもっとも気温が下がる頃ですので、体調管理には十分気を付けましょう。大寒から2週間くらいで立春を迎え、暦の上では春になります。

 東洋医学では、冬は「腎」の季節、春は「肝」の季節とされています。立春(今年は2月4日)頃までは引き続き「腎」を養い、その後は「肝」を意識した養生に切り替えましょう。

「腎」を気遣う生活習慣を!!

冬はまだ続きますが、11月頃からこれまで、体を冷やしたり、活動し過ぎたりしていませんでしたでしょうか?

次のような症状に心当たりの方、もしかしたら「腎」が十分に養えていないかもしれません。

  • 「足腰が少し弱った」
  • 「なんとなく老けたかもしれない」
  • 「聴力が落ちた気がする」
  • 「なかなか冷えが取れない」と感じている方・・・。

今からでも体を冷やさないようにして、休息や睡眠をたっぷりとり、「腎」をこれ以上弱らせないようにしましょう。食事もできるだけ温かいものを摂られてください。

「腎」に負担かけ続けると・・・

「疲れやだるさがなかなか抜けない」、「気力がわかない」などの症状は、ございませんでしょうか?

寒さや生活習慣により「腎」に負担をかけ続けると、エネルギーを蓄えることができず、疲れやだるさ、気力がわかないといった状態を招いてしまいます。

この状態のまま春を迎えてしまうと、本来発散するはずのエネルギーがないままに活動することになります。

そこに引っ越しや新しい職場などの環境の変化でストレスを感じるようになると、ますます気力がわかなくなり、精神的な不調をきたすことも考えられます。

もう少し続く冬の間に、エネルギーを蓄えておきましょう。

「腎」から「肝」にシフトチェンジ

まもなく訪れる春は、「肝」の季節です。漢方の五行説では、「肝」は木にあたります。

「肝」は、春になると一斉に芽吹き、のびのびと成長する木のような環境を好むため、ストレスを感じると、働きが低下してしまいます。

 「肝」には、血を貯蔵するだけでなく、気や血を全身にめぐらせる働きもあります。

「肝」の働きが低下することで、気や血のめぐりが悪くなり、さまざまな不調をもたらします。本格的に春を迎える前に、少しずつ「腎」から「肝」を意識した生活へとシフトチェンジしていきましょう。

冬から春にかけての漢方的生活習慣

  • 体は冷やさない
  • 足腰が弱らないように、軽い運動やストレッチの習慣をつける
  • 疲れを感じたら、しっかり休息時間をとる
  • 「腎」の働きを助ける食材と「肝」の働きを助ける食材を取り入れる

冬から春にかけての薬膳

まだまだ気温の低い日が続きますので、引き続き体を温める食材を中心にとるのがおすすめです。

2月になると少しずつ春野菜が出始めます。旬のものには栄養もたぷっり含まれていますので、「初物」としておいしくいただきましょう。

「腎」を養ってくれる黒豆、黒ごま、くるみなどは手に入りやすいので、引き続き食事に取り入れて、腎を養いましょう。「肝」を養う食材も少しずつ取り入れて、季節の変わり目をスムーズに乗り越えましょう。

「腎」を養う食材

黒豆、黒ごま、クルミ、栗、黒米、ブロッコリー、ブルーベリー、海苔、いか、ほたて貝、あじ など

「肝」を養う食材

菜の花、キャベツ、セロリ、しいたけ、みつば、しそ、ミント、パセリ、ピーマン、春菊、いちご、ライチ、あさり、ほたて、うこん(ターメリック)、ジャスミンティー、菊花、よもぎなど

「肝」のために取りたい、五味が「酸」の食材

梅干、レモン、グレープフルーツ、ゆず、トマト、キウイフルーツなど

胃腸の不調には、消化がよく温かいものを

土用に入り、年末年始にごちそうをたくさん食べて、胃腸の調子が悪くなったというご相談の方も増えています。

1月7日は、七草がゆを食べて、疲れ体調を休ませる日とされています。消化不良や胃もたれなどが続いて胃腸機能が低下すると、体力も徐々に低下してしまいます。

胃腸の不調に気がついたら、消化がよく温かいものでも食べすぎず、腹八分目にしておきましょう。

 春まであと少し、かぜやインフルエンザの流行も懸念されますので、手洗いやうがいをしっかり行い、引き続き「腎」を養いつつ、「肝」を養う食材も取り入れて残りの冬を過ごしましょう。

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