耳鳴りの漢方

耳鳴り 過労や過度のストレスも引き金に

耳鳴りは、自分の周囲で何も音は鳴っていないのに自分にだけ聞こえ、時に日常生活に影響を及ぼすほど不快な状態になる症状です。
片耳だけ聞こえる場合、両耳で聞こえる場合、高音または低音で聞こえる、めまいや肩こり、頭痛を伴うものなど、さまざまな症状があります。

聞こえてくる音は、ジージーと蝉が鳴くような音だったり、キーンという金属音だったり、さまざまです。内耳の血流やリンパ液の流れ、聴覚神経の不調、筋肉の痙攣などと関係が深いようです。ストレスが耳鳴りを悪化させます。

漢方で考える耳鳴り

漢方において、耳は五臓のうちの「腎」と密接な関係にあります。「腎」は、生命エネルギーの源である「精」を蔵して、発育、成長、老化を司り、その良し悪しが耳に反映するとされています。そのため、年齢とともに「精」が減ると、耳鳴りになりやすくなります。

突発的に起こる耳鳴り 「肝」との深い関係

突発的に起こる耳鳴りは、五臓のうちの「肝」と深い関係があります。
精神的緊張や強いストレス、怒りなどにより「肝」の働きがスムーズに流れなくなると、頭や顔面部に炎症が生じ、耳鳴りが起こりやすくなります。
耳鳴りは突発的に始まり、音は大きく、ストレスを感じると悪化するのが特徴です。

ストレスタイプの耳鳴り

症状

キーンと高く強い音の耳鳴り、怒ると症状が重くなる、偏頭痛、めまい、眼の充血、便秘などの症状が現れやすいです。

改善方法

ストレスにより自律神経のバランスが乱れている状態です。
「肝」は、怒りや憂鬱な気持ちなど感情的な刺激によって傷つきやすく、自律神経の乱れと関係が深いです。
肝の経絡が耳の周囲には集まっているので、ストレスなどで「肝」が乱れると、耳への影響も現れやすくなります。
漢方薬では、上昇した熱を冷まし緊張を鎮めて、自律神経のバランスをととのえるものや肝気を巡らせるものを用います。

腎精不足(腎虚)タイプの耳鳴り

症状

蝉の鳴き声のようなジージーという音の耳鳴り、夜間静かになると耳鳴りや聴力の低下が強くなる、難聴、めまい、腰痛、不眠、ほてりなどの症状が現れます。

改善方法

加齢や疲労により、からだの機能が低下している状態です。
耳と五臓の「腎」には密接な関係があります。
漢方でいう「腎」は、生命活動の源である「腎精」の貯蔵庫です。
西洋医学でいう腎臓の働き以外に、内分泌(ホルモン)系、免疫系、生殖器系と、脳の働きも含めた幅広い生理機能をあらわしています。
漢方では、腎が弱く腎精が不足した状態を「腎虚」といい、さまざまな老化現象が現れます。
特に加齢とともに難聴など聴力が減退してきた方に多いタイプの耳鳴りですが、虚弱体質や病後、過労などで若い人の耳鳴りの原因となることもあります。

漢方薬では、生命力を蓄えている腎を補い、衰えている生命力を高めてくれるものを用います。

血が滞りやすい瘀血タイプの耳鳴り

漢方では、全身の血の巡りがよくないことを「瘀血」といいます。
頭部の血行が悪くなり、耳周囲の気や血の流れもよくない状態で、耳鳴りの症状を招くと考えられます。

漢方薬では、血を巡らせ気血の流れを整えるものを用います。

その他、胃腸の弱さや胃腸の不調が耳鳴りの根本的な原因になっている場合も多く、漢方薬や養生で胃腸を整えることも必要となります。

耳鳴りによく使われる漢方薬

竜胆潟肝湯、柴胡疎肝湯、加味逍遥散、大柴胡湯、釣藤散、温胆湯、防風通聖散、桃核承気湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、六味地黄丸、滋腎通耳湯など

あなたに合った漢方薬は、あなたの体質によって異なります。
自分にあった漢方薬が何かを知るには、漢方の専門家に相談し、自分の体質にあった漢方薬を選ぶ必要があります。

耳鳴りでお困りの方

耳鳴りはとても不快な症状です。

当薬局では漢方専門の薬剤師がおひとりおひとりから丁寧にお話をうかがい、どのタイプに当てはまるかを慎重に判断し、ベストの漢方薬を処方しています。(混合型や、上記とは別のタイプの場合もあります。)ご相談くださいませ。

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